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後鼻漏と副鼻腔気管支症候群|咳が治らないのは“鼻汁”が気管支に落ちているから?

後鼻漏と副鼻腔気管支症候群|咳が治らないのは“鼻汁”が気管支に落ちているから?

「副鼻腔炎で後鼻漏が続き、なかなか咳が止まらない」
「起きてすぐ、口から痰のような鼻汁を吐き出す毎日…」
そんなお悩みの方に、実は非常に多いのが『副鼻腔気管支症候群』の状態です。

漢方相談をしていると、
「咳の原因が鼻だなんて、考えたこともなかった」
と驚かれる方が多いのですが、これは私の経験上、とてもよく見られるパターンです。


◆ 鼻汁が“気管支”に落ちているとき、咳は治らない

副鼻腔炎によって後鼻漏(鼻汁が喉へ垂れてくる状態)が起きていると、
その鼻汁が気道を刺激し、慢性的な咳の原因になることがあります。
特に、朝起きてすぐに「口から痰を出すような行為」が日課になっている方は要注意。
それは“痰”ではなく、鼻から喉・気管支へ流れ込んだ鼻汁である可能性が高いです。

このような場合、漢方相談ではまず「鼻」の改善を優先させます。
実際、鼻の通りがよくなり、後鼻漏が軽くなるにつれて、
咳止めや吸入薬を使わずとも咳がおさまっていくケースが多くあります。

 

◆ 『副鼻腔気管支症候群』とは?

医学的には、「副鼻腔炎と気管支の病気が合併している状態」を
副鼻腔気管支症候群と呼びます。

具体的には、慢性副鼻腔炎に加えて――

慢性気管支炎
気管支拡張症
びまん性汎細気管支炎
といった気管支系の病気を伴うもので、特に40代以降の方に増えている印象です。

ただ、症状があっても「副鼻腔炎と咳を結びつけていない」方がほとんどです。
だからこそ、鼻と気管支を“別の問題”として捉えるのではなく、
後鼻漏があるかどうかを軸に、2段階でアプローチすることが大切です。

 

◆ 2ステップの対策がカギ|まず鼻、次に気管支

副鼻腔気管支症候群の改善で、私が重視しているのは以下の流れです。

【ステップ1】後鼻漏(鼻の問題)を整える

まずは後鼻漏が起きている「副鼻腔炎の状態」を改善します。
鼻から喉へと流れ続ける鼻汁を止めることで、気道への刺激を抑えることができます。
ここを先に整えないと、どんなに気管支だけにアプローチしても咳は改善しません。

【ステップ2】それでも残る咳には気管支のケアを

鼻の改善だけでは咳が止まらない場合は、気管支自体に炎症や虚弱があると考え、
「肺」「気管支」に焦点を当てた漢方処方に切り替えていきます。

この2段階のアプローチを取ることで、
「何をしても咳が止まらなかったのに、スーッと楽になった」
というご報告をいただくことも少なくありません。

 

◆ 問診のポイント|“鼻汁の質”を見極める

このような対応をするうえで、もっとも大切なのが問診です。
中でも「起床時の鼻汁の有無」は、判断の分かれ目です。

〇朝、口から鼻汁や痰を出す習慣がある
→ 鼻汁が気管支に落ちている可能性あり。鼻の治療を最優先。

◎朝も昼も痰のようなものは出ないのに、喉に違和感がある
→ ドロッとした鼻汁が流れていない=上咽頭炎や自律神経の乱れの可能性

このように、“痰が出るか出ないか”だけでなく、

どう出るか・いつ出るかを見ることで、漢方的な判断が大きく変わってきます。

 
◆ 慢性症状には“体質改善”もセットで

後鼻漏や副鼻腔気管支症候群は、単なる一時的な症状ではなく、
体質や生活習慣の乱れが積み重なった結果であることが多いです。

そのため、症状が長期化している方には、
「食養生」や「体質改善」も合わせて取り入れることが必要不可欠です。

一時的に症状を抑えるだけでなく、
「再発しにくい体づくり」をめざして根本から整えてみて下さい。
それが、漢方薬局でできる最大のサポートと思います。

 
まとめ
・咳が続いている方は「鼻汁が気管支に落ちていないか」確認を
・朝、口から痰を出す習慣がある人は“副鼻腔気管支症候群”の可能性
・鼻の治療を先に行うことで、咳も自然に改善することが多い
・症状が慢性化している場合は、食養生と体質改善も重要

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この記事を書いた人
神谷 和憲(かみや かずのり)
和ひのき薬局 薬剤師/漢方相談担当

後鼻漏・上咽頭炎など、長引く不調にお悩みの方に寄り添いながら、
漢方と食養生での改善をサポートしています。

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