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秋に悪化する慢性上咽頭炎・後鼻漏|乾燥と夏の胃腸の弱りから考える漢方と養生

秋に悪化する慢性上咽頭炎・後鼻漏|乾燥と夏の胃腸の弱りから考える漢方と養生

秋に悪化する慢性上咽頭炎・後鼻漏|乾燥と夏の胃腸の弱りから考える漢方と養生
「秋になると、喉がイガイガする」
「エヘン虫が気になるのに、痰は出ない」
「喉の痛みから風邪を引き、その後も不快感が残る」

秋の漢方相談では、慢性上咽頭炎や後鼻漏で、
このようなお悩みをお聞きします。

秋の乾燥は、鼻や喉の不快感を強めるきっかけになります。

ただ、相談で大切にしているのは、空気の乾燥だけでなく、
その方の身体がどのような状態で秋を迎えたかを考えることです。

特に、夏の冷たい飲食物による胃腸への負担を持ち越している方では、
漢方でいう「潤いを作る働き」にも目を向けます。

秋の慢性上咽頭炎・後鼻漏では、
乾燥への対策とともに、
胃腸の状態を整えることも大切にしています。


■ 秋の乾燥で、喉のイガイガや張り付きが気になる
秋は、夏から気候が変わり、
空気の乾燥や朝晩の寒暖差を感じる季節です。

この時期になると、
・喉がイガイガする
・鼻や喉の奥が乾く
・エヘン虫が気になる
・粘液が張り付く感じがする
・痰を出したいのに、出ない
・空咳が続く
といったご相談が増えてきます。

後鼻漏というと、
鼻水がたくさん喉へ流れる状態を思い浮かべるかもしれません。

しかし、
相談では、流れる量よりも
乾燥や張り付きがつらいとおっしゃる方もいらっしゃいます。

慢性上咽頭炎でお悩みの方からも、
こうした不快感をお聞きします。

漢方では、秋は乾燥の影響を受けやすい季節と捉え、
鼻や喉の潤いにも目を向けます。

ただし、
同じ秋の乾燥に触れていても、
身体の状態は一人ひとり違います。


■ 秋の相談で、夏の冷たい飲食物についても聞く理由
夏は暑いため、
冷たい飲み物やアイスクリーム、冷えた食べ物などを
口にする機会が増えます。

もともと胃腸が強くない方では、
こうした飲食が続くことで負担になっている場合があります。

漢方では、胃腸の消化吸収などの働きを「脾」の働きとして捉えます。

脾は、食べ物や飲み物から、
身体を動かし養う気血や、津液(身体に必要な潤い)を作る土台
と考えられています。

生まれた後の身体を支える大切な土台であることから、
「脾は後天の本」といわれます。

そのため、胃腸の働きが弱っている方では、
潤いを十分に作れず、
秋の乾燥の影響を受けやすい状態になっていないかを考えます。

外の空気が乾燥していることと、
身体の内側で潤いを作れているか
その両方を見るのです。

実際の相談でも、
秋に喉の乾燥やイガイガが強くなる方には、
夏の飲食や、現在の胃腸の状態まで確認しています。


■ 「食べられる」と「朝、お腹が空く」は同じではありません
胃腸についてお聞きすると、
「普通に食べられます」
「胃腸が弱いとは思っていません」
とおっしゃる方も少なくありません。

そこで、もう少し具体的にお聞きします。

「朝、起きたときにお腹は空いていますか?」

すると、
「お腹は空いていないけれど、時間だから食べています」
「食べられるので、いつもどおり食べています」
というお話が出てくることがあります。

食べられないほど困っていなくても、空腹感が乏しい
その違いも、身体の状態を知る手がかりになります。

もちろん、朝の空腹感だけで
胃腸の弱りを決めるわけではありません。

食事の量や時間、夕食や間食、胃もたれ、便通なども
合わせて確認します。

鼻や喉の相談で食事のことまでお聞きするのは、
今ある症状を、その方の身体全体から考えたいからです。


■ 喉の痛みから風邪を引き、その後も不快感が続く方へ
秋の相談では、
「風邪は、いつも喉の痛みから始まります」
「風邪を引くと、喉のイガイガがなかなか戻りません」
というお話もお聞きします。

慢性上咽頭炎でお悩みの方の中には、
風邪をきっかけに、喉の不快感が強くなる方もいらっしゃいます。

こうした場合も、今の喉の状態に加えて、
乾燥、胃腸の働き、疲れ、睡眠などを確認します。

漢方相談では、潤いを補うこととともに、
粘膜が回復しやすい身体の状態を整えることも考えています。

秋に限らず、慢性上咽頭炎の不快感が長引く場合には、
炎症・潤い不足・回復力の低下などが重なっていないかにも目を向けます。

粘膜が回復しにくくなる背景については、
こちらの記事で詳しく説明しています。
→ 慢性上咽頭炎が治らない理由|粘膜が回復できない3つの要因


■ 喉の違和感と、口の乾燥があった方の相談例
喉の不快感を考える際には、
口の乾燥や、普段の習慣にも目を向けます。

例えば、喉の違和感や咳払いでお悩みだった
60代女性の相談例では、口の乾燥があり、
アメをよくなめていらっしゃいました。

食生活を伺うと、空腹感があまりないのに、
時間が来たから食事をしている状態でした。

そこで、喉や口の乾燥だけでなく、
胃腸の働きや水分の巡り、
食べ方も含めて身体全体を考えました。

漢方と食事の見直しを続ける中で、
便通や食後の眠気にも変化が見られ、
やがてアメも自然となめなくても気にならなくなっていきました。

喉の症状だけでなく、ほかにどのような不快感があり、
日々どのように対処しているのか
そこにも、その方の身体を知る手がかりがあります。

こちらの記事では、この方の相談経過を紹介しています。
→ 喉の違和感・咳払いが続く後鼻漏|口の乾燥でアメをよくなめていた60代女性の改善例


■ 秋の漢方は、潤いと胃腸の両方を考える
漢方相談では、
鼻や喉の乾燥、炎症の状態、胃腸の働き、体力などを確認し、
漢方薬を検討しています。

例えば、麦門冬湯、滋陰降火湯、麦味参顆粒、竹葉石膏湯などが
候補になることがあります。

ただし、それぞれ特徴があり、
同じ慢性上咽頭炎や後鼻漏でも、
同じ漢方薬が合うとは限りません。

潤いを補うことが必要なのか。

胃腸の働きにも対応が必要なのか。

炎症や疲れなど、ほかに考えるべきことはないか。

その方の状態に合わせて考えることが大切です。

慢性上咽頭炎に使われる漢方薬や、
症状・粘膜・身体の状態に合わせた漢方の考え方については、
こちらの記事で詳しく説明しています。
→ 慢性上咽頭炎と漢方|症状・体質に合わせた漢方薬の考え方


■ 潤す食養生と、胃腸に負担をかけない食べ方
秋の食養生では、
白きくらげ・はちみつ・れんこん・ゆり根などが、
漢方の考え方で潤いを補う食材として用いられます。

ただし、特定の食材を食べれば、
後鼻漏や慢性上咽頭炎が治るということではありません。

はちみつなどを取り入れる場合も、
量や、その方の身体の状態を考えます。

また、
潤いを補おうと食べ物を足すことだけでなく、
胃腸への負担にも目を向けたいところです。

・夏から冷たい飲食物を摂る習慣が続いていないか
・お腹が空いていないのに、いつもの量を食べていないか
・夕食や夜の間食が多くなっていないか
・辛いものや揚げ物、アルコールを摂り過ぎていないか

こうした点を、その方の暮らしに合わせて確認します。

朝の空腹感がないからといって、
一律に朝食を抜くという話ではありません。

食事の量や時間、内容などを振り返り、
無理なく整えられるところを一緒に考えます。


■ 秋に取り入れたい生活養生
日常生活では、室内の乾燥を避け、
鼻や喉を乾燥した空気から守る工夫を取り入れます。

朝晩の気温差に合わせて衣服を調整し、
睡眠や休養も大切にしてください。

秋の相談では、夏からの胃腸への負担を
持ち越していないかを確認します。


■ 毎年秋になると、鼻や喉の不調が気になる方へ
秋の慢性上咽頭炎・後鼻漏を考えるとき、
空気の乾燥への対策は大切です。

それとともに、夏をどのように過ごし、
今、胃腸や身体全体がどのような状態にあるかにも目を向けます。

食べられていても、朝の空腹感はどうか。

冷たい飲食物を摂る習慣が続いていないか。

疲れや睡眠不足を持ち越していないか。

ただし、後鼻漏が長引く背景は、乾燥や胃腸の弱りだけとは限りません。

鼻水の量や粘り、唾液や口の状態、喉の敏感さなど、
複数の要因が重なっている方もいらっしゃいます。

後鼻漏全体を広く整理し、
ご自身の状態を理解する手がかりについては、
こちらの記事にまとめています。
→ 後鼻漏が治らない理由|鼻・のど・粘膜の状態を6つの視点から解説

和ひのき薬局では、こうしたお話も丁寧にお聞きしながら、
その方に合った漢方と食養生・生活養生を考えています。

養生は、我慢や負担を増やすためのものではありません。

鼻や喉の不快感に振り回される時間を減らし、
季節が変わっても元気でイキイキと過ごせること。

そのために、身体の声を確かめながら、
無理なく続けられる方法を一緒に見つけていきたい
と考えています。