ブログ

 ›
 ›
認知症について

認知症について

今回は、認知症の病因病機を
中医学(漢方)的に考えてみます。

大きく分けて4つになります。

①瘀血

年齢を重ねると血液に粘りが出るため、
血の流れが滞り瘀血を生じやすくなります。

瘀血は脳への血流をさまたげ、
それが健忘や痴呆といった症状を
引き起こす原因となります。

西洋医学の血管疾患である高血圧、動脈硬化、狭心症、高脂血症、
脳血管障害のある人、手術歴・外傷歴がある人は、注意が必要です。

主な症状:物忘れや頭痛、疼痛、手足のしびれ、顔色の黒ずみなど

「活血」「化瘀」「健脳」を中心に、脳の血流を改善して
脳機能を維持します。

※冠元顆粒・当帰芍薬散、賢脳丹などを用います。


②腎虚


腎は、精を蔵し、精は髄を生み、
髄は脳髄とつながっているので
腎精が不足する(腎虚)と、脳機能は低下します。

腎は生命を維持するエネルギー源
「精」の貯蔵庫です。

慢性疾患や加齢による消耗から
腎の機能が減退すると老化現象が早まります。

主な症状:健忘、腰痛、めまい、聴力の減退、脱毛、歯が弱い、夜間の頻尿

「補腎」「益精」により老化現象を予防することで
脳機能を守ります。

※参茸補血丸、参馬補腎丸、亀鹿仙などを用います。


③脾気虚


脾胃は後天の本と呼ばれ、気血を生む源。

脾胃が弱ると全身の気血が不足して五臓六腑以外に
脳機能も低下します。

胃腸虚弱、慢性疾患や老化から体力が落ちてる場合
健脾益気を併用します。

主な症状:食欲不振、息切れ、疲労、不眠、健忘、風邪をひきやすい

脾の運化を高めて、体内の気・血を同時に補うことで
脳機能を維持します。

※心脾顆粒、健胃顆粒、補中丸などを用います。


④肝鬱


肝は新陳代謝をコントロールする大切な臓器。

この機能がうまく働いていると、
全身にきれいな清気(酸素)がいきわたり
脳の働きも活発になります。

ストレスで肝の機能が減退し、気の流れが滞ると
症状の悪化を招くことがあります。

肝鬱が認知症の主要原因ではありませんが
BDSD(周辺症状)の改善に期待できます。

主な症状:情緒の不安定、憂鬱、イライラ、胸脇張満、不眠、集中力の低下

肝の疏泄機能を調節して、気血の巡りを通じさせ
脳機能を安定させます。

※抑肝散、加味逍遥散などを用います。


==============================


西洋医学では、4大認知症として
アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性、前頭側頭型と分けますが
中医学では、しっかりと「弁証論治」を行って漢方薬をお飲みください。

①から④の原因が複数にわたることもありますし、
他に「痰湿(身体に不要な脂肪など)」も
血の巡りを閉塞させ、瘀血が発生して血脈がつまると
認知症の原因になったりします。


また中医学では、「異病同治」と言って、
違う病気でも原因が同じであれば、同じ漢方薬を使います。

上記の主な症状が気にある場合は、転ばぬ先の杖として、
脳の健康のために漢方薬を飲んでおくと予防になって良いですよ。