ブログ

 ›
 ›
後鼻漏とめまいが続いた60代女性|検査で異常なしと言われた漢方相談の症例

後鼻漏とめまいが続いた60代女性|検査で異常なしと言われた漢方相談の症例

後鼻漏とめまいが続いた60代女性|検査で異常なしと言われた漢方相談の症例
「検査では異常がないと言われたけれど、時々めまいが起こる」

「鼻の奥に痰がへばりつく感じも続いている」

このような後鼻漏(こうびろう)とめまいの両方でお困りだった、
60代女性の漢方相談の症例です。

この方は、
病院で検査を受けても異常が見つからず、
薬を処方されましたが、
その後も時々めまいが起こっていました。

特に朝、布団から起き上がる時にめまいが出やすく、
「いつまためまいが出るか分からない」
という不安も抱えていらっしゃいました。

漢方相談で詳しくお話を伺うと、めまいだけでなく、
慢性的な鼻炎や後鼻漏、胃腸の弱りなども見えてきました。

今回は、鼻とめまいの両方に変化が見られた経過と、
症状が再発した時にご本人が気づかれたことをご紹介します。


■めまいだけでなく、後鼻漏や鼻炎も続いていました
ご相談のきっかけは、繰り返すめまいでした。

詳しくお聞きすると、
・朝、布団から起き上がる時にめまいが出やすい
・慢性的な鼻炎がある
・後鼻漏による違和感が続いている
・朝になると白い痰が出る
・鼻や喉の奥に何かがへばりついている感じがする
という状態でした。

めまいと鼻の症状は、
一見すると別々の問題に思えるかもしれません。

実際、めまいには耳の病気をはじめ、
さまざまな原因があります。

特に起き上がる時のめまいでは、
耳の病気などが関係している場合もあります。

そのため、後鼻漏があるからめまいが起こる、
と単純に判断することはできません。

ただ、この方の身体全体を中医学の視点で見ていくと、
共通する背景があるのではないかと考えました。


■中医学では「余分な水の停滞」に注目しました
中医学では、身体の中の水分がうまく巡らず、
余分な水が停滞している状態を
「痰湿(たんしつ)」などと表現します。

この方の場合、
・慢性的な鼻炎と後鼻漏
・朝に出る白い痰
・鼻や喉の奥のへばりつき
・繰り返すめまい
といった症状がありました。

こうした状態から、
身体の水分代謝がうまく働かず、
余分な水が停滞している可能性を考えました。

中医学では、
このような水分の停滞が頭部に影響することで、
頭重感やめまいなどが現れる場合があると捉えます。

もちろん、
これは中医学的な身体の見立てであり、
医学的な検査で頭部に水がたまっていると
確認されたわけではありません。

では、なぜ余分な水が
停滞しやすくなっていたのでしょうか。

そこで、胃腸の状態や日々の生活を詳しく確認しました。


■背景にあった胃腸の弱りと生活習慣
お話を伺うと、次のような生活背景がありました。

・仕事中に間食をすることが多い
・便は軟便気味
・睡眠時間は5~6時間ほど
・本当はもっと睡眠を取りたい
・パソコン作業が多く、肩こりが強い

特に気になったのが、間食の多さと軟便です。

中医学では、胃腸の働きを「脾(ひ)」という概念で捉え、
飲食物から必要なものを取り込み、
水分を運ぶ働きにも関係すると考えます。

この働きが弱った状態を「脾虚(ひきょ)」といいます。

この方は、胃腸の弱りによって水分をうまく処理できず、
余分な水が停滞しやすくなっているのではないかと考えました。

また、
睡眠不足や肩こりもあり、
身体を十分に休められていない様子でした。

鼻やめまいだけを見ていては、
こうした背景は分かりません。

そのため、漢方だけでなく、
食事や睡眠などの生活習慣も一緒に整えていくことにしました。


■漢方と生活の見直しで、めまいと後鼻漏に変化がありました
漢方相談では、胃腸の働きや水分の巡りを整えることを重視しました。

同時に、間食を減らすことや、
身体を休めることの大切さもお伝えしました。

ただ、最初から生活習慣を変えられたわけではありません。

仕事も忙しく、長年続けてきた習慣を見直すことは
簡単ではありませんでした。

それでも、漢方を続ける中で鼻の状態が少しずつ楽になり、
ご本人も身体の変化を感じるようになりました。

相談のたびに生活習慣についても一緒に振り返り、
少しずつ取り組んでいただきました。

すると、

・間食が当初の約2割まで減少
・軟便気味だった便通が安定
・漢方開始後、めまいが出なくなった
・2か月後には朝の痰の粘りが減少
・日中のへばりつく感じがほぼなくなった
という変化が見られました。

この方の場合、
胃腸の状態や生活習慣を整えていく過程で、
鼻の不調だけでなく、
めまいにも改善が見られたのです。

ただし、この経過だけで
後鼻漏がめまいの直接の原因だった
と断定することはできません。

大切なのは、一つの症状だけに注目するのではなく、
身体全体の状態を確認しながら変化を見ていくことだと考えています。


■漢方を中断した後、再びめまいが出ました
鼻の状態もめまいも落ち着いてきましたが、
仕事が忙しいこともあり、
体質を整えるための継続的な取り組みまでは行わず、
漢方相談はいったん終了となりました。

ところが、しばらくして再び来店されました。

「まためまいが出てしまって……」
以前ほど強いめまいではありませんでしたが、
症状が再発していたのです。

ただ、今回のご相談では、
以前と大きく違うことがありました。

ご本人が、
「鼻の調子が悪いと、めまいも出やすいですね」
とお話しされたのです。

この言葉が、とても印象に残っています。

以前は、いつ起こるか分からないめまいに
不安を感じていらっしゃいました。

それが今回は、鼻の状態が悪くなっていることと、
めまいが出やすくなっていることを、
ご自身で結びつけて振り返られていたのです。

もちろん、
鼻の不調がめまいの原因だ
と確定したわけではありません。

それでも、
ご本人が自分の身体の変化に気づけるようになったことは、
大きな前進だと感じました。


■症状の改善だけでなく、自分の身体を理解できたこと
今回の漢方相談で大切だったのは、
めまいや後鼻漏が改善したことだけではありません。

ご本人が、自分の身体の調子を振り返れるようになったことです。

以前は、
「いつめまいが起こるか分からない」
という不安がありました。

ところが、相談を重ねる中で、
胃腸の状態や食事、鼻の不調などにも
目を向けられるようになりました。

そして再発した時にも、
以前とは違う視点で自分の身体を見られるようになっていたのです。

症状が良くなったら終わり。

それだけではなく、なぜ調子が崩れやすいのか、
どのような生活をすると身体に負担がかかるのか。

そうした自分自身の傾向に気づくことも、
漢方相談で大切にしていることです。


■後鼻漏とめまいがある時は、身体全体の状態も確認します
後鼻漏とめまいが同時にあるからといって、
必ず同じ原因で起こっているわけではありません。

めまいが続く場合や繰り返す場合には、
耳鼻科などで原因を確認することが大切です。

突然の激しいめまいに、
手足の麻痺やろれつが回らない
などの症状を伴う場合は、救急受診が必要です。

そのうえで、検査や治療を受けても不調が続く場合には、
胃腸の状態、睡眠、食事、疲労など、
身体全体を振り返ることも一つの視点になります。

今回の60代女性では、
胃腸の弱りや生活習慣を見直していく中で、
後鼻漏とめまいの両方に変化が見られました。

そして、
ご本人が自分の身体の状態を理解できるようになったことも、
大切な変化でした。

和ひのき薬局では、症状だけでなく、
その症状が続いている背景にも
目を向けながら漢方相談を行っています。

後鼻漏が長引いている方は、
ご自身の身体の状態を一度整理してみてはいかがでしょうか。

ご相談をご希望の方は、公式LINEまたはお電話からご予約ください。


■後鼻漏について、さらに知りたい方へ
今回の方は、胃腸の弱りや水分の巡りが一つの手がかりになりました。

後鼻漏が長引く背景には、鼻の炎症だけでなく、
粘液の排出や身体全体の状態が関係している場合もあります。

後鼻漏がなかなか治らない理由については、
こちらの記事で詳しく説明しています。
→後鼻漏が治らない理由|鼻・のど・粘膜の状態を6つの視点から解説

また、鼻炎や副鼻腔炎など、
鼻側の問題から後鼻漏が続いている場合については、
こちらの記事にまとめています。
→副鼻腔炎・鼻炎など「鼻タイプ」の後鼻漏が長引く背景